発達障害


障害認定基準

障害年金の対象になる発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、 注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいうとされています。その他以下の記載があります。

・たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う。 また、発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

・発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が 20 歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とする。

 

具体的な認定要領は別途ガイドラインや診断書記載要領にて規定されています。

 

精神の障害に係る等級判定ガイドライン

『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

 

診断書記載要領

B.pdf (nenkin.go.jp)

発達障害の障害認定基準

発達障害で他に考慮される要素例

(ガイドラインより)

 

•知能指数が高くても日常生活能力が低い(特に対人関係や意思疎通を円滑に行うことができない)場合は、それを考慮する

•臭気、光、音、気温などの感覚過敏があり、日常生活に制限が認められれば、それを考慮する

•社会的行動や意思疎通能力の障害が顕著であれば、それを考慮する

など


障害等級の目安

精神疾患は他の病気と異なり、検査データによる診断が難しいため、数値などの基準がありません。認定基準では、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するとされています。

一方で、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に、「障害等級の目安」が記載されており、精神疾患の障害等級の決定において大変重要な指標となっています。具体的には、診断書に記載される「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」により、等級目安が決まる仕組みになっています。

例えば、「日常生活能力の判定」が1.8、「日常生活能力の程度」が(3)の場合、「3級」に認定される可能性があると判断できます。

※この項目だけで決まるわけではありませんが、障害等級決定の最も重要な項目になります。

『日常生活能力の程度』 および 『日常生活能力の判定』 は文字通り日常生活能力を示し、その基準は診断書記載要領に細かく記載されています。

診断書作成依頼の際には、日常生活の困り事を正しく先生にお伝えすることが大変重要になります。

 

障害等級決定の目安(精神の障害に係る等級判定ガイドライン)
障害等級の目安
精神の障害用診断書裏面
診断書(精神の障害用)

「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」

「日常生活能力の程度」の(1)~(5)の程度は、診断書記載要領に図のように記載されています。

「日常生活能力の判定」は、「(1)適切な食事」から「(7)社会性」の7つの項目それぞれに1点~4点の点数をつけ、その平均点から算出されます。

「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」の基準の詳細は診断書記載要領に記載されています。

また、重要なポイントは、家族と同居している場合は、単身でかつ支援がない状況で生活した場合を想定して判断する点です。

 

「日常生活における困り事」を詳細に医師にお伝えしておかないと、実際の状態が診断書に反映されない可能性もあります。

 

当事務所では、実際の状態が診断書に正しく記載いただけるよう、診断書作成依頼の際に、「日常生活の困り事まとめ」を作成して医師に提出させて頂いております。

 

なお、治療のためにも、日々の受診で、困り事はしっかりと医師にお伝えしておくことをおすすめします。

日常生活能力の程度
日常生活能力の判定