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雇用調整助成金の不正受給に対する調査の強化へ

厚生労働省より、雇調金等の助成金不正受給への対応を強化する旨の通知が公表されています。

 

スライド 1 (mhlw.go.jp)

 

コロナウイルスが拡大した当初、国は企業の雇用維持を優先し、本来のような厳格な助成金審査は控え、とにかく迅速な支給を優先してきました。

一方で、大変残念ながら、助成金の不正受給が続々と発覚しています。これを受け、雇調金申請がピークを超え、事務的に余裕が出てきたこの時期に、調査を厳格化するものと考えられます。

これから申請する分に加え、過去の支給分も調査の対象になります。

調査は、労働局が行う事業所訪問・立入検査の他、会計検査院が訪問し、申請内容や関係書類を確認する場合があります。また、捜査機関など関係機関から問い合わせを行う場合もあります。

 

①事業所訪問・立入調査

不正が疑われる場合だけではなく、雇用調整助成金等の申請をした、あるいは支給決定を受けている事業主

の一部が事業所訪問・立入検査の対象とされます。

・調査は、事前予告なしにされることがあり、出勤簿や賃金台帳など休業の実態確認に必要な書類が確認され

ます。

・立入検査は雇用保険法第79条に基づくものであり、検査を拒んだり協力しない場合は、雇用保険法に基づく

罰則が科せられることがあります。

・従業員や取引先等へ調査協力を求め、直接話を聞く場合があります。

 

②不正が発覚した場合

・助成金の返還請求がされます。

「不正発生日を含む判定基礎期間以降に受給した助成金の全額」、 「不正受給した助成金の額の2割に相当

する額」、「延滞金(不正受給の日の翌日から納付の日まで年3分)」の合計額の返還が請求されます。

・1か月以内に返還しない場合、事業主の名称、代表者氏名、事業所の名称、所在地、不正受給金額、不正の内

容等が、公表されます。

・特に悪質な場合と判断されると、捜査機関に対し刑事告訴等が行われます。