ご訪問ありがとうございます。
1ヵ月単位の変形労働時間制は、1ヵ月を通じ、平均して週40時間となるようにシフトを組むことにより、1日あたり8時間を超える日があっても割増賃金が生じないという特長があります。隔週で土曜日営業のある会社さんなどでは有効な制度です。
その一方で、制度の運用面においては厳格さが求められています。
1ヵ月変形労働時間制に関し、気になる裁判がありましたのでご紹介いたします。
ダイレックス事件(長崎地判令3・2・26)
1カ月単位の変形労働時間制を導入し、週平均40時間を超えるシフトを組んでいたところ、従業員が未払割増賃金を求めて裁判に発展しました。長崎地裁は、週40時間平均の条件を満たさず、制度を無効とし、既払額との差額と付加金※の支払いを命じました。
1ヵ月変形労働時間制は、週平均40時間となるようにシフトを組むことが要件であり、それを満たしていない場合、この裁判のとおり1ヵ月変形労働時間制自体が無効とされます。無効になると、通常の労働時間制度と同様に、1日8時間、1週40時間を超えた分について割増賃金の支払いが必要になります。
民法改正により、最大3年間遡って請求が可能であり、数百万円といった高額な支払いとなる可能性があります。
また、付加金※といって、未払い額と同額、つまり未払額の2倍支払うよう命令されることもあり、甚大な影響となるケースもあります。
1ヵ月変形労働時間制を採用している会社さんにおいては、あらためて、シフトが週40時間平均以下で作成されているかチェックをおすすめいたします。