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休職期間の長さってなんで会社によって違うの?休職の法的位置づけをわかりやすく解説します

雇用契約とは?

 

はじめに雇用契約について確認します。

雇用契約とは、簡単にいうと、「労働の提供に対し、報酬を支払う」ことを約束するものです。これは民法に規定されています。

参考)

民法 第六百二十三条 

 

雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる

 

また同時に、労働契約は労使双方がいつでも解約できる(2週間前に通告すればよい)とされています。

参考)民法 第六百二十七条 

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する

解雇権濫用の禁止とは

でも、労働者は事業主より立場が弱いので、この民法の規定だけだと圧倒的に労働者が不利になります。いつでも2週間前に解雇通告されたら困ってしまいますよね。

 

そこで、労働基準法・労働契約法の出番となります。

労働契約法で、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、権利を濫用したものとして無効となる」と規定されています。

これがとても重要です。

 

仮に民法の規定だけだったとすると、

「傷病で労働できない」場合は、雇用契約における労働の提供をしていないので、債務不履行とされ、すぐに解約(解雇)が可能となってしまいます。

 

しかし労働契約法のおかげで、「病気で働けないだけなのにすぐ解雇というのは、社会通念上相当じゃないでしょ?解雇権を濫用したものだから無効ですよ」と労働者を保護してくれています。

 

企業側はどうしたかというと、

「では一定の治療期間を設けますので、それでも労働ができない場合は契約終了にしますね、これならいいでしょ?」という考えから、休職制度を設けるようになってきました。

 

つまり休職制度とは、解雇猶予措置であると言えます。

休職期間の長さ

以上お話したとおり、休職制度は、解雇までの猶予措置です。その猶予の期間については法的に規定されていません。つまり裁判例等を踏まえて、会社側が独自に設定するものになります。

そのため、会社によって、半年だったり、1年だったり、3年だったり違いがあるというわけです。

まとめ

いかがでしたでしょうか? 休職制度の法的位置づけについて解説してきました。

 

次回は、休職に関する裁判例についても紹介していきたいと思います。

 

ご一読ありがとうございました。